💹 FIRE後のiDeCo

FIREを果たしたあと、「iDeCoって、このまま続けるべき?」と迷う人は多いと思います。
私自身もそのひとりです。

もともとiDeCoは、「掛金が全額所得控除になる=節税になる」ことが最大の魅力です。
現役時代はこのメリットが非常に大きく、月2万円強の掛金でも所得税・住民税の還付額は年4〜5万円程度。十分な恩恵がありました。

でも、FIRE後の私の課税所得は“非課税ライン(43万円)以下”。
不動産所得はあるけれど、減価償却などで調整し、所得税・住民税を完全にゼロに抑えています。

その状況で、iDeCoを続ける意味があるのか──真剣に考えました。

📉 節税効果がないのに口座維持費がかかる?

 FIRE後は所得控除の恩恵がないばかりか、iDeCoには運営管理機関への口座維持費用がかかります。金融機関によって違いますが、年間で数百〜千円程度。

節税できないのに、運用も拘束されて、維持費まで払うの?

 私の中では、だんだんと“いらない制度”になってきました。

💡「強制退会でスッキリさせよう」という発想

 そんなときに知ったのが、「国民年金が全額免除になると、iDeCoの加入資格を失う」というルール。つまり、

国民年金を全額免除にすれば、自動的にiDeCoの掛金が停止されて、実質“強制退会”になるじゃん!

とひらめいたわけです。まさに「願ったり叶ったり」。
この作戦なら、自分から退会手続きしなくてもいいし、余計な支出も止められるし、FIRE民にピッタリだと思ったのです。

❗しかし、ここで大きな勘違いが判明

 実は、「強制退会=iDeCo口座解約」ではありません。
 資産は60歳まで凍結されたまま引き出せない。

🔒 強制退会後のリアルな流れ

  1. 国民年金が全額免除になると、iDeCoの掛金拠出資格が自動で消滅
  2. 掛金は停止される(=維持費の発生もほぼゼロに)
  3. しかし、資産はそのまま残り、60歳まで引き出せない
  4. 60歳以降に年金 or 一時金で受け取り(※その際は課税あり)

なるほど──「資産は寝かせられるけど、使えない」という状態。

🪧「脱退一時金で取り戻せる」説も、甘かった

 「iDeCoをやめたら、資金が返ってくる」という説も耳にしましたが、これは“脱退一時金”という特例です。
 私も一瞬「もしかして?」と思いましたが、条件を調べてみると──

脱退一時金の条件 結果
iDeCo加入期間が3年以下 ❌ 私は5年以上加入
資産が少額(50万円以下) ❌ 私は300万円以上ある
国民年金第1号でなくなる ✅ これはOK

 → 一発アウト。完全に対象外
 つまり、一度入れたお金は、60歳になるまで一切戻ってこない。
FIRE直後の貴重な資産が“凍結資産”になるという、想定外の展開でした。

✅ とはいえ、iDeCoを「凍結保管」しておくのも一つの選択肢

  • 強制退会により掛金は自動で停止
  • 運用は続けられる(例:インデックス投資信託)
  • 維持費はほぼゼロ(年数百円レベル)
  • 60歳まで放置すれば、年金 or 一時金で回収可能

 現金化はできないけれど、「税制優遇の効いた年金資産を寝かせておく」と考えれば、そこまで悪くない。
 「節税できない→やめたい→でも資産は凍結」というもどかしさはあるけれど、致命的なミスではありませんでした。

🧮 掛金を増やせる人も、“出口課税”には注意

一方で、私のように課税所得をゼロにしている人ばかりではありません。
FIRE後も一定の収入があり、課税されている方の中には──

iDeCoの掛金を最大で月額7万5,000円(年額90万円)まで増やして、控除額を最大化したい!

という選択をされる方もいると思います。
それ自体は、節税という観点では正攻法のひとつです。

ただし、その場合に見落としがちなのが「出口課税」の問題です。

iDeCoの資産を60歳以降に一時金として受け取る場合には、退職所得控除という枠が使えます。
控除額は、iDeCoの「加入年数」に応じて計算されます(20年以下は40万円×年数、21年目以降は70万円×年数)。

ここで誤解しやすいのが、「会社の退職金と通算されて控除が減るのでは?」という不安。
ですが、FIRE済み=すでに退職を済ませている前提であれば、iDeCoが満期(原則60歳)になった時点では、会社の退職所得とは別の年になるため、控除枠が削られる心配は基本的にありません。

とはいえ、注意すべきは──
iDeCoの加入年数が短い場合、退職所得控除の枠が小さくなりやすいという点です。
運用がうまくいって資産が大きく育っていると、控除を超えた部分が課税対象になります。

また、「年金形式」で受け取る場合は雑所得扱いとなり、他の公的年金と合算して課税される可能性もあります。

加入年数退職所得控除額
20年800万円(40万 × 20年)
25年1,150万円(800万+70万×5年)
30年1,500万円(800万+70万×10年)

🧩 退職所得控除を“育てておく”という戦略もある

退職所得控除額は、iDeCoの「加入期間」に比例します。
つまり、60歳以降も国民年金に任意加入していれば、iDeCoの拠出も継続できるのです(最大65歳まで)。

このとき掛金は最小の月額5,000円でもOK。
ごくわずかな拠出で「加入年数」を稼ぎ、将来の退職所得控除枠を広げることができるわけです。

さらに、「少額でも長く加入する」ことで将来の退職所得控除の枠を育てるという発想もあります。
FIRE後だからこそ使える制度の“裏側”を、自分なりの設計に活かしてみてください。

🎯 まとめ:FIRE後のiDeCo、あなたはどうする?3つのタイプ別最適解

あなたの状況に合わせて、最適な選択肢をチェックしてみましょう。

タイプA:【所得ゼロ】掛金のメリットがないあなた

  • 結論:無理に掛金を続ける必要はなし。「国民年金免除」を利用した掛金停止(運用指図者になる)が有力。
  • メリット:維持費を最小限に抑えつつ、60歳まで非課税で運用を継続できる。
  • 注意点:「凍結資産」として使えない期間が長くなることに注意。

タイプB:【所得あり】まだ節税したいあなた

  • 結論:掛金を継続・増額し、節税メリットを最大限活用。ただし出口戦略が必須。
  • ポイント:
    一時金で受け取る → 会社の退職金と年をずらして、退職所得控除をフル活用
    年金で受け取る → 公的年金との合算課税を回避するタイミング設計を

タイプC:【長期目線】将来の非課税枠を最大化したいあなた

  • 結論:月々5,000円の少額拠出で加入期間を延ばし、将来の「退職所得控除枠」を育てる。
  • おすすめの人:
    一時金での受取を考えている
    iDeCoの加入期間がまだ短い
    60歳以降も国民年金に任意加入する予定がある

🔍 これからFIREを目指す人へ──

iDeCoを「途中で引き出せる制度」だと勘違いしてはいけません。
資金拘束リスクも考慮したうえで、加入・継続・停止を判断しましょう。

✅ まずは、ご自身のiDeCo口座を開設している金融機関のウェブサイトで、「口座維持手数料」がいくらかかるかを確認してみてください。
✅ そして、ご自身のiDeCoの「加入期間」が今何年で、60歳時点で何年になるのかを計算してみましょう。
それが、あなたの「退職所得控除額」のベースになります。


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