🏡 「家族」じゃなく「ビジネスパートナー」──同性パートナー間だからこそできた、節税と信頼の両立

愛と信頼に、合理性を添えた話

※本稿は、私自身の投資戦略とは少し視点を変え、パートナーの不動産投資を支援する中で、私たち双方にどんな実利と学びがあったのかを綴ったものです。
制度の隙間をどう活かし、信頼関係をどう築いていくか──「家族ではない」からこそ選べた方法の一例として、ご参考になれば幸いです。


💡 「家族」でも「他人」でもない関係に、契約という選択肢

同性パートナーの関係性は、法律上「家族」ではない。
けれど、私たちはただの「他人」でもない。
だからこそ、お金のやり取りには特別な配慮が必要だった。

お金の貸し借りに感情が入り込むと、たとえどんなに愛し合っていても、関係にひびが入ることがある。
でも逆に、合理的な契約を結ぶことで、お互いの信頼を「見える形」にできることもある。

私たちが選んだのは、「業務委託契約」というカタチだった。

🏘 不動産投資を始めたパートナーに、なぜ私が関わるのか

パートナーはサラリーマンで、年収は年相応にもらってる。
でも、税金の負担も重く、将来に対する漠然とした不安を抱えていた。

そこで私が提案したのが、「不動産投資を使って課税所得を圧縮する」方法だった。
私はすでにFIREを達成し、自身でも複数の不動産を管理している。経験と知識はある。

だけど、ただの「手伝い」では済まない。
物件の選定から契約、経理や確定申告まで、やるべきことは山ほどある。

だから私たちは、ビジネスとして契約を交わすことにした。

📄 業務委託契約の中身──実際の契約書より

2025年6月6日付で締結した契約書には、以下の業務が明記されている。

  • 物件取得支援(物件情報整理、内見同行、契約支援など)
  • 会計業務支援(入出金管理、レシート整理、会計ソフトへの入力補助)
  • 確定申告に必要な資料のとりまとめ
  • 開業届や青色申告の支援、会計体制の構築支援

契約期間は1年で任意継続。報酬体系は以下のように明確に定めた。

  • 不動産取得支援:1物件あたり30,000円
  • 月次経理支援:1物件あたり月5,000円
  • 年次申告支援:1物件あたり年15,000円
  • 開業・会計支援:一式30,000円

※補足:「業務委託契約」とは、雇用ではなく業務単位で仕事を依頼する契約です。雇用関係とは異なり、報酬は作業の内容と量に応じて設定されます。

💰 報酬は“愛の手伝い”じゃない──業務対価の妥当性を考える

報酬があることで、税務上も「業務の実態」が問われる。
形式的な支払いでは意味がない。だからこそ、報酬額の根拠も文書で残した。

たとえば、取得支援の3万円は、物件選定から契約支援まで1日仕事として妥当な金額。
セミナーや個別相談と比べても割高ではない。

月次経理支援の5,000円は、記帳代行の副業相場と同等。
2〜3時間の労働に見合う報酬だ。

これらはすべて、「愛の手伝い」ではなく、「プロとしての業務」としての対価だ。

📉 赤字化と青色申告特別控除──節税に果たす実際の効果

今回の最大の目的は、不動産所得をあえて赤字にすることで、サラリーマンの給与所得と損益通算し、源泉徴収された所得税の還付住民税の減額を狙うことにあった。

特に会社員の場合、給与が高くなるほど税率が上がるため、赤字化による節税効果も大きくなる傾向がある。

具体的には、不動産収支が1万円赤字になるごとに、ご自身の課税所得金額に応じた所得税率と、住民税率(原則10%)を合わせた金額の還付・減額が見込まれる。

課税される所得金額所得税率所得税の還付額住民税の減額額
(1万円の赤字あたり)
195万円超~330万円以下10%約1,000円約1,000円
330万円超~695万円以下20%約2,000円約1,000円
695万円超~900万円以下23%約2,300円約1,000円
900万円超~1,800万円以下33%約3,300円約1,000円

※実際の金額は扶養状況や自治体の設定によって異なる場合がありますが、おおよその目安としてご活用ください。
※上記の「課税される所得金額」は、給与収入そのものではなく、各種控除(給与所得控除、社会保険料控除、基礎控除など)を差し引いた後の金額です。
※住民税率は、お住まいの自治体によって若干異なる場合があります。

さらに、開業届を提出し、青色申告(10万円控除)の承認を受けることで、これに加えてさらなる節税効果が期待できる。
たとえば課税所得が500万円の人なら、青色申告特別控除10万円により約3万円の所得税+住民税の軽減効果がある。

※補足:物件をローンで購入する場合、「土地の取得にかかるローン利子」は、給与所得との損益通算の対象になりません。これは不動産所得内の黒字としか相殺できず、赤字部分として給与所得と相殺することはできないという制限です。実際の節税効果を見積もる際は、この点に十分注意が必要です。

🌈 同性パートナーだからこそ、できること・できないこと

ここまで見てきたように、制度の中でできる工夫は多くある。
一方で、同性パートナーという立場だからこその制約も、まだまだ存在する。

私たちの関係は法的には「家族」ではない。
だから、配偶者控除や扶養控除、健康保険といった制度は使えない。
相続も、婚姻関係にあるカップルのようにはできない。

だけど、だからこそ、こうして「業務契約」という形で対価を支払い、
互いに独立した存在として協力できる自由がある。

同性パートナーという関係は、社会制度の枠にはまらない。
でも、創意工夫次第で、制度の中に選択肢を作ることはできる。

🔍 お金と愛の切り分けが、信頼を育てることもある

契約書に互いの名前を記し、ハンコを押したとき、
「これでようやく、対等なパートナーとして肩を並べたかもしれない」と思った。

──でも、もしこれが婚姻届だったら、もっといろんな“制度の特典”があったんだよな、とも、少しだけ思っていた。

お金の話をすることを、タブー視する空気がある。
でも、きちんと話し合って、契約という形にすることで、
逆に愛情や信頼が深まることもあると感じている。

私たちはこれからも、互いに依存せず、支え合う関係でいたい。
そのために必要なのが、この契約だった。

制度に抗うのではなく、制度を活用する。
それが、同性パートナーとしての私たちなりの「暮らし方」なのかもしれない。

🏚️ 建て替えがしやすくなる法改正──でも札幌の築古区分は“動かない”現実

🏚️ 「建て替えしやすくなる法改正」ってホント?札幌の築古区分オーナーが感じた限界

2025年5月、区分所有法が改正され、マンションの建て替えや敷地売却に必要な所有者の賛成要件が緩和されました。

これまで「全員一致」が必要だったのが、原則「5分の4」、場合によっては「4分の3」の賛成でOKに。

ニュースでは「空き家・老朽マンション対策の切り札」とも報じられていましたが──
札幌で築古区分マンションを14室保有し、すべてを賃貸中の僕からすると、

「ルールが変わっただけで、現場は何も変わらない」

というのが正直な感想です。


❄️ 札幌での現実:「建て替えたくてもできない」理由

1. 安すぎる物件 × 高すぎる建て替えコスト

札幌には、300〜500万円程度で買える築40〜50年の区分マンションがゴロゴロあります。
でも、建て替えには1室あたり2000万円〜4000万円ほどの負担がかかる。

買値の数倍を出さなければならないのに、

「建て替えれば新築になるんだから出せるでしょ?」

とは到底言えません。

2. 入居者を退去させられない

所有している部屋はすべて賃貸中。
つまり建て替えのためには借主に退去してもらわないと始まらない

でも、今回の法改正では賃貸借契約にはまったく触れていません
建て替えを理由に一方的に契約を解除することはできず、退去交渉・補償・訴訟リスクを大家が個別に背負うことになります。

「建て替えは可能になった。でもそのためには、自分で入居者を説得し、補償して、時には裁判までする覚悟がいる」

これ、誰がやるんでしょうか?

3. 管理組合が実働していないことも多い

小規模マンションでは、理事会が機能していなかったり、そもそも年1回の総会すら開けていないことも。

そんな中で「じゃあ再建しましょう!」と声をあげても、動く人がいない。
特に高齢化が進んでいるマンションでは、実行に移す担い手が不足しているのが現実です。


🔍 建て替え決議後の「入居者退去」の壁

ここ、誤解されがちですがとても重要です。

  • 今回の法改正は所有者の議決権に関する話であって、
  • 賃貸借契約の解除・退去に関するルールは一切変わっていません

つまり、

「建て替えが決まったから、借主さん出てってください」は通用しない。

借地借家法により、借主には強い権利があります。
大家が退去を求めるには「正当事由」と「補償」が必要で、合意が得られなければ訴訟して明け渡し請求をしなければなりません


⚖️「大家の権利」にも光が当たる日は来るのか?

現在、国の法制審議会では、ようやく以下のような制度の議論が始まりました:

  • 建て替え決議に基づいて賃貸借契約を終了できる「終了請求制度」の創設
  • 借主への立退き補償制度
  • 賃貸人と借主間の調整手続きの簡素化

でもこれらはまだ国会で審議すらされておらず、法案化・成立には至っていません

借主保護が強すぎる日本の制度では、大家の立場は依然として“損する側”
ルールを守って賃貸しているのに、いざという時は退去させることもできず、建て替えの足かせになる。

「建て替えしやすくする」と言いながら、
退去させられない、補償は大家が負担、裁判で争うしかない──
これじゃあ、全然促進なんてできない。


🗺️ 僕が選ぶ現実的な戦略

建て替え議論に夢を見るのではなく、現実的に“出口”を描ける物件を持つこと

  • 修繕体制がしっかりしていて長期保有に耐えるか?
  • 退去後にリフォーム・再賃貸・売却のどれが取れるか?
  • 再建の芽がある場合、投資家が高く買ってくれる出口があるか?

こうした視点で築古区分を保有・入れ替えしながら、
「再建を待つ」のではなく「持ち続けられる戦略」をとっています。


✍️ まとめ:ルールだけ変えても、建物は動かない

今回の法改正は一歩前進かもしれない。
でも、現場で大家として見えているのは、まだまだ動かないマンションのリアルです。

築古区分を持つということは、再建の夢を追うより、
「どうやって無理なく持ち続けるか」「どうやって出口を作るか」を考えること。
それが、札幌の現場で得た僕の答えです。


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