🏢「DX推進中」の現場で、私が感じた違和感
私はFIRE前、SES契約で大企業のDX部門に約8年間常駐していました。
プロジェクトメンバーとして現場に深く入り込み、数多くの業務改善・システム刷新に関わるなかで、いつも疑問がありました。
「これ、本当にDXって言えるのか?」
たしかに会社としては「DX推進中」とアピールしていましたし、資料やプレゼンも華やかです。
でも、中から見える現実はまったく違っていたのです。
🧱 「現場が変わらない」──大企業のDXが空回りする理由
たとえば、紙の帳票が電子化されたり、RPAが導入されたりする場面はよくありました。
けれどそれは、従来の業務をそのままデジタルに置き換えただけ。
つまり「デジタル化」ではあっても、「トランスフォーメーション(業務変革)」ではないのです。
現場では、こんな声がよく聞こえてきます。
- 「今のやり方で困ってないのに、なんで変える必要があるの?」
- 「それ、失敗したら誰が責任とるの?」
- 「うちは大企業なんだから、慎重にやらないと」
つまり、変わることそのものに強い抵抗がある。
しかも、こうした空気は1つの部署だけでは変えようがないというのが、8年間見続けた現実です。
🌎 【比較】アメリカと日本のDXはどう違うのか?
| 観点 | アメリカ | 日本 |
|---|---|---|
| DXの目的 | 新たな市場の創出、破壊的イノベーション | 現場の効率化、既存業務の延命 |
| 経営層の姿勢 | テックに精通したCEOが主導 | 「DXは現場任せ」の空気感 |
| 推進スタイル | 少人数でスモールスタート → 高速改善 | 稟議・承認が重く、PoCでストップ |
| 人材の柔軟性 | 社外採用も積極的。流動的 | 社内育成中心で、外部に抵抗感あり |
| 組織文化 | フラットで横断的連携がしやすい | 縦割り構造でサイロ化しやすい |
🧩 日本企業のDXが進まない「構造的な理由」
- DX=デジタル化と誤解している
RPAやペーパーレス化だけで「DX推進中」とアピールしてしまう。 - 失敗が許されない文化
「まずやってみよう」が通じず、PoCで止まりがち。 - 中間管理職がブレーキをかけてしまう
変化より「トラブルを起こさないこと」が重視される評価制度。 - 業務フローが複雑かつ属人化している
長年の業務慣習が積み重なり、「例外処理だらけ」の状態。
組織ごとの“暗黙知”や手作業の工程が多く、IT化の前提となる「業務の可視化・標準化」ができていない。 - システムのブラックボックス化
古いシステムの継ぎ接ぎ運用で、刷新も統合も難しい。 - 人材不足
DXには「ビジネス × テクノロジー」という両輪が必要ですが、そのような人材は慢性的に不足。
6.については、特にプロパー社員(正社員)は、日々の運用業務や会議・調整に追われており、技術的な深掘りに時間を割く余裕がないのが現実。そのため、
- 「この要件にはどの技術要素を使えば実現できるのか」
- 「その実装方法にはどんな選択肢があるのか」
といった構造的・技術的な視点が社内で不足しています。
この部分を補完しているのが、SES契約などで常駐する外部エンジニアです。要件を整理し、実現手段を提案し、時には手を動かして実装まで持っていく──
現場に深く入り込むことで、ようやくプロジェクトが動き出すケースも少なくありません。
🔄 でも私は今、個人商店のDXを支援している
私自身はすでにFIREして、企業の中でDXを推進することには正直あまり関心がありません。
でも、小さな店や現場のDXには、大きな可能性があると思っています。
いま私が開発しているのは、ゲイバー向けの会計・売上管理アプリです。
チェックイン、オーダー、会計、ボトル管理、営業日ベースの売上集計──

エクセルや手書きでやっていた作業を、スマホやタブレットで直感的に扱えるようにしています。
小さな店では、スタッフのITリテラシーもまちまち。
でも、業務に直結する課題を「すぐ・わかりやすく」解決できるDXなら、ちゃんと浸透するんです。
💡大企業と個人商店、DXの本質はここが違う
| 項目 | 大企業DX | 個人商店DX |
|---|---|---|
| 意思決定 | 上層部が遠く現場が動かない | 店主自身が意思決定できる |
| 目的 | 体裁・業績アピールになりがち | 業務がラクになる、売上が伸びる |
| スピード感 | 稟議や調整で鈍重 | 思いついたらその場で導入できる |
| 成功の鍵 | 合意形成・部門連携・システム統合 | 現場感覚と使いやすさ |
✍️ 最後に
日本の大企業で「DXの進まなさ」を実感したからこそ、今私が支援している小さな店のリアルなDXには希望を感じています。
「DX」って難しそうに見えるけど、日々の困りごとをちょっとだけラクにしてくれる道具なんです。
これからも、そういう支援をしていきたいと思っています。
DXは、もっと身近なところから始められるはずです。
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