🎨 愛情は、色を持っていると思う
「親は子どもを平等に愛している」――よく聞く言葉だけれど、
僕はずっと、そうじゃないと思ってきた。
三兄弟の末っ子だった僕は、誰よりも甘やかされて育ったし、
実際に一番かわいがられていたと自分でも感じている。
だからだろうか。
人を、あるいは動物を「特別に思うこと」と、
「平等に愛すること」は、同じではないと、自然に思っていた。
僕は、愛情とはグラデーションがあるものだと思っている。
そしてこの感覚は、2頭の犬との日々の中で、
より深く、そして具体的に考えるテーマとなっていきました。
🐶 最愛の子、そして新たな命
僕には、2頭の愛犬との思い出があります。
1頭目の子は、いわば“最愛の子”。
仕草、性格、距離感――すべてが愛おしく、特別でした。
たとえば、僕がソファに座ると、すぐに膝の上に乗ってきて、
じっと僕の目を見つめてくる。
あのまなざしの奥にある「無条件の信頼」がたまらなくて、
どんな日でも、その存在だけで救われていました。
その子を失う未来を想像するだけで苦しくて、
僕は“その日の備え”のような感覚で、2頭目を迎えました。
でも――やっぱり、比較してしまうんです。
「あの子はこうだったのに」
「今の子は、それをしてくれない」
💭 比べる心と、無償の愛
頭ではわかっている。
どの子にも個性があって、関わり方も違う。
比べたくないと思っていても、
それでも心は、あの子を基準にしてしまう自分がいる。
そして、そんな自分を「嫌だな」と思う。
けれど、ふと気づくんです。
2頭とも、まったく違う性格であっても、
どちらからも、疑いのない“無償の愛”を感じていたな、と。
それは、食事を与えたり、散歩をしたり、
いわば生活の面倒を見ているから、というだけではない。
その先にある、信頼関係の積み重ね。
名前を呼べばこちらを見てくれる。
何も言わなくても寄り添ってくれる。
ただ、そばにいるだけで安心できる。
血のつながりはないけれど、
まるで親子のような関係だったと思います。
いや、きっとそれは――
「血」ではなく、「時間と信頼で結ばれた親子のような絆」だったんだと、今では思います。
🕊️ 喪失と、向き合う覚悟
1頭目が亡くなったのは、2年前のことです。
僕は意外にも冷静でした。
パートナーが涙を流しているのを横で見ながら、
自分は、心の奥でこう思っていたんです。
「いつかこの日が来ることは、頭の片隅でずっと分かっていた」
「この子は、僕より早く旅立つ運命なんだ」と。
ペットは人間より早く年を取って、先にいなくなる。
それを理解していたからこそ、
「守る側として、しっかり見送る」覚悟も持っていたんだと思います。
📰 守りたい命、そして社会の視線
でも最近、ニュースなどで、
交通事故や事件で我が子を突然失った親の姿を見るたびに、
胸が締めつけられるような気持ちになります。
愛する存在を、自分の意志ではどうにもできない形で奪われる。
その理不尽さを想像するだけで、
もしそれが今そばにいる子だったら――と考えてしまう。
きっと僕は、冷静ではいられないと思う。
加害者に対して復讐心を抱かずにはいられないだろう。
そんな感情を抱く自分に、少し戸惑いと恥ずかしさも覚えるけれど、
それがきっと、正直な僕の感情なのだ。
さらに言えば、メディアの報道のあり方にも、違和感を覚えます。
悲しみを報道することには意味がある。
しかし、それが“消費”のためのものになった瞬間、別の痛みが生まれる。
遺された親の言葉や表情を執拗に追いかけるその視線が、
静かに追い打ちをかけているようで、見ていられないことがあります。
僕が飼い犬に向けて感じているこの強い思いも、
きっと、子どもを持つ親の「守りたい」という感情に限りなく近いんだと思います。
血のつながりがあるかどうかではなく、
「この命だけは、自分が絶対に守りたい」と願う気持ち。
それがある限り、
人はとても強く、同時にとても脆くなるのかもしれません。
🌱 今を生きるこの子と、愛情のグラデーション
今そばにいてくれている2頭目の子は、
過去の誰かの“代わり”ではなく、
まったく違う個性を持った“いまここにいる命”です。
たとえば、先代とは違って控えめで、こちらが声をかけない限りは距離を保っている。
けれど、僕が落ち込んでいると、いつの間にか足元にそっと寄り添っていて、
何も言わずに頭を擦りつけてくれる。
その静かな温もりに、
「あぁ、この子もまた、ちゃんと僕を感じ取ってくれているんだな」
と、胸がじんわりあたたかくなります。
そして最近ようやく、こんなふうに思えるようになりました。
比べることがあってもいい。
それでも向き合い続けることが、愛のひとつのかたちなんだ。
📝 読者のあなたへ問いかけてみたいこと
- あなたにとっての「愛情のかたち」は、どんなものでしょうか?
- ペットを複数飼われた経験のある方、「比べてしまったこと」はありますか?
- ペットとの別れを経験された方、その時に何を感じ、何を学びましたか?
